イギリスでおそらく1890年代に製作されたガラス製のリトルレッドライディングフードマジックランタンスライドNo.3です。Magic Lantern(マジックランタン)はおそらく17世紀にドイツのイエズス会の学者のAthanasius Kircher(アタナシウス・キルヒャー)が考えだした娯楽用のレンズを内蔵した画像プロジェクターのようで、光源はガソリンやガスや灯油を使ったランタンを使用していたようなのでプロジェクターには煙を外へ出す煙突があったようです。暗い部屋の壁に絵や写真が大きく投影されるので当時の人々は大変驚いたようで「魔法のランタン」と呼んでいたようです。こちらは超レアなマジックランタンに使用するために二枚のガラス板で製作されたスライドで、ガラス板におそらくLittle Red Riding Hood(リトルレッドライディングフード/赤ずきんちゃん)のお話のシーンの黒い線画を印刷した上に透明な絵の具で直に手描き彩色してから同じサイズのガラス板で彩色面を挟んで黒い紙を貼って固定されています。右上に3と書かれた丸い紙が貼られたNo.3のシーンのスライドには、おそらくケーキとブドウ酒の入ったバスケットを持って愛犬を連れて家を出たリトルレッドライディングフードが町で知り合いのおじさんに会い森に住んでいる病気のおばあさんの家へお使いに行くことを話すと「お利口さんな子だね」といわれてお小遣いをもらっているイラストが描かれていてイラストのクオリティーが高くて可愛くてとてもいい感じです。リトルレッドライディングフードのお話の中でこちらのシーンはとても珍しいですね。リトルレッドライディングフードはフランス人のシャルル・ペローが1697年に出版した「ペロー童話集」の中にありますが、1812年頃にグリム兄弟がチャイルド達のために可愛い童話としてリメイクしてから有名になったようです。ガラス板のスライドはイラスト面が大きいので窓に立て掛けるとリトルレッドライディングフードの絵がステンドグラスのように鮮やかに浮き上がりとても可愛くてインテリアとしてもいいですね。当時のイギリスのブルジョアの家のチャイルド達がマミーから「赤ずきんちゃん」のお話を聞きながら目を丸くして見入っていた可愛い姿が想像できそうな超レアな貴重な一品です。

スライドのガラスにキズはほとんどなくイラストの発色が良くてとてもきれいです。黒い紙が多少剥がれた箇所がありますがスライドはしっかりと固定されています。その他、多少のキズや汚れなどがありますが欠けやヒビはなく古いものにしてはとても状態が良くきれいで、Good Conditionです。